東京染織秀作展は、江戸時代から地場産業として現代に受け継がれている染織技術を一堂に集めて展示するこれまでにない形式の展覧会です。
それぞれの作品は東京の風土と歴史の中で育まれ、時代を超えて受け継がれた伝統的な技術・技法により作られています。伝統工芸品は手作りの素朴な味わいがあり、親しみやすく、すぐれた機能性などが私たちの生活に豊かさと潤いを与えてくれます。大量生産される画一的な商品とは比べ物になりません。伝統は正に文化そのものであり、私たちにはそれを維持していかなければならない義務があります。
しかしながら、近年の価値観の変化には著しいものがあり、和装業界が大変厳しい状況に置かれていることは業界外の人々にも大きな影響を与えて降ります。
今回の展示では、これまで各業種ごとに発表していた作品に加えて、業種間の技術を生かしながらそれを融合させた作品や、和の技術を生かした洋装の作品などにも挑戦します。アパレル業界の流行色を和のの作品に取り入れた大胆な試みも楽しみです。
同時開催として、刺繍作品を幅広く一般から公募する「江戸刺繍作品コンクール」をきもの美術館で開催いたします。作品発表と同時に業種ごとの実演も行いますので、この機会にぜひともご高覧賜りますようご案内申し上げます。