2004年2月25日(水)~29日(日)
10:00~18:00 (最終日17:00)
きもの美術館・鈴乃屋ホール
入場料 500円
日本における裂織の原点は、庶民が暮らしの中で布を大切に扱い古布を再利用して、新たに布を誕み出す智恵と工夫の見事さにある。最近この裂織がにわかに脚光を浴びている。このブームを背景に行われることになった全国公募展の2回目。 313点の応募作から入選した231点の作品を展示。タペストリーから日常の洋服、コートなど多彩な作品が並ぶ。創造力にあふれた作品は必ずや来場者に楽しみを与えること間違いのないものばかりである。
日本における裂織の原点は、庶民が暮らしの中で布を大切に扱い古布を再利用して、新たに布を誕み出す智恵と工夫の見事さにある。最近この裂織がにわかに脚光を浴びている。このブームを背景に行われることになった全国公募展の2回目。
313点の応募作から入選した231点の作品を展示。タペストリーから日常の洋服、コートなど多彩な作品が並ぶ。創造力にあふれた作品は必ずや来場者に楽しみを与えること間違いのないものばかりである。
大賞 「花壇」
恒松和子(伝統継承部門)
準大賞 「buah manggis-マンギス(マンゴスチン)-」
林塔子(芸術部門)
優秀賞 「コート」
小林恵美子 (裂織作品部門
優秀賞 「私のサグリ」
山本雅子(伝統継承門)
会場の一部
第2回全国裂織展の審査を終えて 今回の審査でわたしが一番印象的だったのは、一時は忘れかけていただろう手仕事の記憶がまだまだ大勢の人の中に残っているということだった。そうした人たちの仕事は丁寧であり、人生経験の重さをしっかりと伝えていて、その時間がまるで結晶のように光り輝いていた。裂織作品部門の衣類を中心とした作品にそうした傾向が多く、わたし個人としても高い比率を与えたと思う。優秀賞の「さみだれ」「思いっきりカジュアル」「およばれに」などはまさにその代表というもので、他の審査員も同じような感じを持ったのではないかと考えている。 何から何までお金を出せば手に入るという時代にも拘わらず、裂織はブームを迎えている。手仕事の極みともいえる裂織に挑戦しようとする人が後を絶たないのだ。 このブームを支える一角に、裂織作品部門にまけない芸術的な表現を求める人たちがいる。古布を自在に扱い、ある人は写生的な表現を求め、またある人はコンセプチュアルな画面を構成しようとする。素材の面白さを生かしたような作品も少なくない。「「海響(Ⅱ)または心音」は個人的に気に入った作品、「残雪のブナ林」は構想力も織の技術も文句ない作品と思った。 伝統継承部門への出品はわずか17点と少なかった。この部門は裂織作品部門との違いが余り明確でないので、裂織作品部門と考えて審査に当たった。この部門は今後なくしてしまってもいいのではないかと思う。今回はたまたまこの部門から大賞がでることになったが、受賞した「花壇」は伝統を受け継ぎながら、作品としての品格や芸術性もあり、総合的に優れていることが審査員の評価に繋がった。 全体的には1回目に比してレベルが相当上がっているように思えた。展示の都合もあって入選しなかったが優れた作品がまだまだあったことを付記しておきたい。 きもの美術館 舟迫 正
第2回全国裂織展の審査を終えて
今回の審査でわたしが一番印象的だったのは、一時は忘れかけていただろう手仕事の記憶がまだまだ大勢の人の中に残っているということだった。そうした人たちの仕事は丁寧であり、人生経験の重さをしっかりと伝えていて、その時間がまるで結晶のように光り輝いていた。裂織作品部門の衣類を中心とした作品にそうした傾向が多く、わたし個人としても高い比率を与えたと思う。優秀賞の「さみだれ」「思いっきりカジュアル」「およばれに」などはまさにその代表というもので、他の審査員も同じような感じを持ったのではないかと考えている。 何から何までお金を出せば手に入るという時代にも拘わらず、裂織はブームを迎えている。手仕事の極みともいえる裂織に挑戦しようとする人が後を絶たないのだ。 このブームを支える一角に、裂織作品部門にまけない芸術的な表現を求める人たちがいる。古布を自在に扱い、ある人は写生的な表現を求め、またある人はコンセプチュアルな画面を構成しようとする。素材の面白さを生かしたような作品も少なくない。「「海響(Ⅱ)または心音」は個人的に気に入った作品、「残雪のブナ林」は構想力も織の技術も文句ない作品と思った。 伝統継承部門への出品はわずか17点と少なかった。この部門は裂織作品部門との違いが余り明確でないので、裂織作品部門と考えて審査に当たった。この部門は今後なくしてしまってもいいのではないかと思う。今回はたまたまこの部門から大賞がでることになったが、受賞した「花壇」は伝統を受け継ぎながら、作品としての品格や芸術性もあり、総合的に優れていることが審査員の評価に繋がった。 全体的には1回目に比してレベルが相当上がっているように思えた。展示の都合もあって入選しなかったが優れた作品がまだまだあったことを付記しておきたい。
きもの美術館 舟迫 正