峯子の和服
アジアの木綿と和のかたち
村田峯子さんは「きものをもっと身近なものにしてほしい」と思い、20年近く前からアジアの木綿を使った和服作りに取り組んでいる。訪問着や振袖は言うに及ばず、普段着とされる紬のきものだって着るとなるとそれなりの心構えがいる。普段からもっと気軽に着ることのできる和服があってもいいのではないだろうか。洋服感覚で着られる和服、自分本意の和服である。和の感覚をもっている衣装に親しむようになれば、きものへの関心もきっと高まるに違いない。
村田さんが目をつけたのはインドの更紗だった。インド更紗には木綿特有の心地よい肌触りがあり、植物模様や幾何学模様など豊富な色柄に恵まれている。初めてインドを訪れたときに受けた更紗のめくるめくような衝撃は今も頭に焼き付いている。その布を和のかたちに応用したら、面白いものが出来るに違いないという思いもあった。
村田さんは布を選ぶことから、デザイン、縫製まですべてを一人でやっている。もともと和裁は得意だった。布地の模様を見て組み合わせやかたちを考える。あれこれ考えながら作業をしていると、自分が楽しんでやっていることに気付く。実際に身に着けて街へもでてみた。なかなかいい感じだ。
村田さんが作る和服のかたちは、日本に古くからあった仕事着をベースにしている。船大工の仕事着だった「ぞんざ」や、半纏、コート、かるさんなどである。きものと同じく生活と深く関わるところで存在してきた衣装だ。最近はインドの布だけでなく、インドネシアやタイなどの木綿布も取り入れバリエーションを広げている。アジアの布は染料が滲んでいたりしても、生活のにおいを感じさせるから普段着にはもってこいなのだという。
オープニングイベント:
シャンソン、童謡とアコーディオンの集い
11月6日(土) 午後2時~2時30分
歌:桑名貞子
アコーディオン:伊藤ちか子