小物一つでスタイリングが決まる。きものを着る人にとって、小物はトータルコーディネートに欠かせないアイテムである。おしゃれ着もゆかたも、今や小物をおろそかにしてきものを語れない時代なのだ。
きもの美術館では、一般のショップとは一味ちがった小物の提案をしてみたいと考え、美術館が所蔵するきものに、帯揚げや帯締め、ぞうり、バッグなどなど、質がよくてオリジナリティーの高い品々を集め取り合わせてみます。
暮らしや心の豊かさというのは、使い手がこうした小物と主体的に関わりあい、自分の個性を表現することを通してはじめて得られるものである。作り手がモノを定義づけ、用途や目的を限定してはモノの広がりがなくなるのと同じように、使い手ももっともっと自在な受け止め方をして楽しまねばならないような気がする。
きものは着こなしやコーディネートで自分だけのスタイルつくることのできる格好の衣装と言っても言い過ぎではない。小物を上手にあしらえば一枚のおしゃれ着が何年も使えるのである。