四百年の歴史を持つ西ノ内和紙。その漉き手である菊池正氣さんは伝統を受け継ぎながら、骨太の紙を漉くことで知られています。那須楮という自然素材になるべく手を加えず、その素晴らしさを最大限に引き出そうとする姿勢は、多くの紙漉き仲間や和紙の研究者から注目を浴びています。また菊池さんは桜井貞子さんらと研究を重ね、非常に薄い紙布用原紙を漉く第一人者としても有名です。和紙を使う人の要望にどう応えてあげられるかいつも考えているのです。 今回の展覧会では、菊池正気さんの紙そのものの素晴らしさを知っていただくと同時に、菊池さんの紙を用いて紙布や紙子などさまざまな作品作りを行っている工芸家の作品も見ていただきたいと考えています。わが国伝統の和紙がいろいろな分野で使われ、漉き手、作り手、使い手、更には鑑賞者が一体となってはじめて存在していることを理解していただきたいと願っています。
出品作家: 菊池正気(紙漉き・紙造形)、梶山和世(紙布)、勝冨美江(型染)、小島貞二(染)、小山欽也(紙造形)、桜井貞子(紙布)、島田康子(紙子)、馬場敦子(紙布)